双子恋愛
□甘く優しい思い出
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「―なんだよ、きょうは守ってくれる兄ちゃんはいないのかよ」
小さい頃のオレは、よくいじめられていた。
理由は様々だった。
あの頃のオレは少し女顔で、年相応の可愛らしい顔をしていた(自分で言うのも変だけど)。まずはそれ、女みたいだと。
次に静かだったこと。女みたいだと言われてるのにプラス大人しいとくれば、性格の悪い男子はますます女みたいだと言った。
「元希がいないとなんも出来ないクセにー」
「………」
何を言われてもされても、何も出来ないオレ。
悪口を言われても、物を投げられても、泣くしかできない弱いオレ。
そんなオレの傍にいつもいてくれた、元希。
物を投げられたら、それを投げ返してた。
悪口を言われたら、何故か悪口を返さないで近くの物を投げてた。
そして、
「準太は、オレが守ってやるよっ」
「オレが準太を笑顔にしてやる」
「っいたっ……」
缶を投げられた。しかも頭に当たった。
カランっと音をたて地面に落ちる。
ちょっと痛かった、泣きそう。
「泣くのか?また泣くのか」
「泣けばー?泣いてまた元希に助けてもらえよー」
―元希。
石が体に当たる。頭を隠して堪える。
肌が出ている腕が痛い、多分傷がついた。
じわっと目と鼻の奥が熱くなってきた。
痛い痛い痛い痛い。
元希、元希……。
「…っとき…!」
「てめえらこの野郎おおっ!!」
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