双子恋愛
□……あれ?
1ページ/3ページ
部屋に飾ってある写真の中に、昔撮ったものが1枚ある。
引っ越しの時に撮った、元希と一緒に写ってる写真。
オレと元希の時間は、そこで止まってる。
「榛名の本気球は、1試合に一回見せるか見せないかだからな」
「見れればラッキーっすね」
「そうだな」
球技場に入って観客席のベンチに荷物を置いて座る。
「あー日陰だー」と、利央は嬉しそうに寝転んだ。今日は少し暑いからな。
昨日、部活から帰ってきて飯食って風呂入って。
その後の10時頃、オレは利央と電話をしてた。
利央とは家が近くて、引っ越してきてから最初に出来た友達。公園で遊んでた時に会ったのが始まりだ。
8年の付き合いもあり、仲はいい方だ。よくお互いの家に行き合ったり、昨日みたく電話もするし。
『準さーん…』
「なんだよ。そんなダルそうな声出して」
『明日さあ、見に行くじゃん…榛名』
「え……あぁうん。それが?」
『榛名ってさあ……バカだよね』
「…は?え、なにバカなの?」
『バカだよあいつ!!だってさあ!!』
(呂佳さんと美丞をフった…か)
いや呂佳さんをフったって言ったら……まあでもそうだよな。
その電話で、昨日利央はものすごくテンションが高かった。
だから多分、今も内心榛名に対して何らかの感情は抱いているだろう。
確かに、武蔵野よりは美丞の方が野球をするには絶対いいとは思う。
しかも、まだ見たことはないけど注目される程速い球を投げるのに、わざわざ無名にも近かった武蔵野に行った理由。ちょっと気にはなる。
だって武蔵野っつったらサッカーだろ。
「あ、武蔵野グラウンド入った」
.