双子恋愛
□気づけば初恋
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「ぐずっ…っず、…ばあちゃあん……」
小さい頃のオレは、いじめられっこでした。
理由はもう一目瞭然。この外見。黒でも茶色でもない色の髪と目。と、何故かこの天パ。
でオレは小学生1年生から、最近進級した2年生まで虐められていた。
あの日は、桜咲く4月だった。
その日もオレは、髪引っ張られたりカバン投げられたりされて、ボロボロの状態で公園のブランコに座って泣いていた。
こんな日常を毎日。
ばあちゃんから貰った大事なロザリオ。胸に抱き締めて泣く。
こうすると、ばあちゃんが側に来てくれてる感じがするから。
こんな毎日、いつまで続くのだろう。
兄ちゃんはやり返せっていうけど、オレは兄ちゃんみたいに大きい体じゃないし。すぐ泣いちゃう。
逃げたい。
学校にも行きたくない。
どこにも行きたくない。
こんな場所から逃げてしまいたい。
そんな事ばかり考えるようになっていた時だった。
「……どうしたの?」
いきなり頭上から話しかけられて、オレは涙でグシャグシャな顔をあげた。
風でヒラヒラと舞う桜の花びらをバックに、キレイな短い黒髪をなびかせて、その人はいた。
年上だと、一目でわかった。
女の子(かな?)は首を傾げて、もう一度言った。
「どうしたの。どっか痛いの…?」
その問いにオレは、小さく頷いた。
「…ここが、痛い」
そう言ってオレが指したのは、胸。
『心』が痛いんだ。
女の子は大して驚く事なく、そっか、と言った。
オレも、そこ痛い。
小さく言ったその言葉を、オレは聞き逃さなかった。
「…ねえ、名前…なに?」
「え…利央。仲沢利央」
「りお?じゃありお、家どこ?帰ろう?」
ふわっとした笑顔と白い手を向けられて、痛い胸がドキリと甘い痛みに変わったのは、小さいながら分かった。
久々に触れた他人からの優しさは、またオレに涙を流させた。
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