双子恋愛

□賑やかな空間
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「古今東西、水系ポケモン」


「ゼニガメ!」


「カメール」


「カメックス…って準さん止めて!オレこの3匹くらいしか分かんないのっ」


「分かっててやってまーす。ニョロモ、はい」


「ギブ!つか古今東西でこのジャンル止めない?もっと別のさあ…」


「なにFFがいいの?」


「準さんの好きなものでしょソレっ。…動物とかは?」


「犬っ猿っ鳥っ」


「桃太郎〜?」




小学校並みの遊びとこの発言。
それでも盛り上がり続けて早15分。

ホールはだいぶ人で暗くなり、賑わってきた。


周りを見渡すオレに気づいて、利央が言った。



「人いっぱい……これ全部高校生?」




なんだその言い方。
高校生じゃなかったら中学生か?大学生かよ。

ま、桐青以外でこんな人数見るのはあんまないからな。
オレも初めてここ来たときはドキドキしたし、心情は分かる。


不安そう、だけど少し頬の赤い利央のその頬を軽く摘む。



「…なに?」


「不安?」


「……別に」


「オレも去年ベンチ入りしてたから来たんだけど、不安だったよ」



別にお前だけじゃねーよ。そう言ってやると、小さな返事が聞こえた。




このセリフをオレが言うなんて。
去年、オレは和さんにこのセリフを言ってもらった。


利央みたいにアホな事は言わなかったけど、不安が顔に出ていたらしく、言ってもらった。




『オレも最初はビビったよ。準太だけじゃないよ』



来年は、利央は新しく来た後輩に言うのだろうか。

そうであってほしいと、なぜかオレは無意識に微笑んでいた。





「…古今東西続行ー」


「えっ?まだやるの?」


「ギリギリまで遊ぶ。古今東西、いやらしい人」


「慎吾さん」


「終わり」


「……慎吾かあ」



と、オレの横に座る我が主将、河合和己。和さんが口を開いた。

今までオレと利央のやり取りを見て笑っていたが、慎吾さんの名前を出した途端、思い出したようにその名前を口にした。





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