双子恋愛
□振り向けば
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「おい榛名、どこ行くんだ。帰るぞっ?」
「先帰っててください。ちょっと行くんで」
「どこに」
「準太に会いに」
そう言うと、おぉーっと先輩方。
やっと会えるのか。
見つかったの?
つか顔わかるのか?
などなど、声をかけられる。主に加具山先輩と大河先輩。
「顔は分かんないっすけど、タレ目で黒髪なんで」
「そんなんどこにでもいるだろっ。大丈夫かよお前」
「オレたち、通じ合ってるんでっ」
「意味わかんねーよ!」
そんな言葉を背中に受けて、オレは手を軽くあげて円から離れた。
とにかく、やっと、やっと会えるって事で頭も胸も…つか体がいっぱいで、心臓がドキドキするとかじゃない、変な気分だ。
会ったら、何からすればいいんだろう。抱き締める?
拒絶とか、されないよな。
無難に「久しぶり、元気だったか」かな。あ、先に名前確認が先か?あいつは今は『榛名』じゃあないから。
9年だ。
9年越しだぞ。
どんなにこの日が来るのを待っていたか。
迎えに行くとか言っておいて結局行けずに過ごして。
無責任だとかって、嫌われているだろうか。
泣いた?準太。
「(あー、抱き締める決定かな)」
つか、場所指定するの忘れたー。
とりあえず、エントランス探してみるか。
桐青のネクタイって……なんか黄色なんだか茶色なんだかな色だったよな。
あれ?てかてか、あのトイレ前で会った2人は…ちゃんと準太に伝えてくれたのか?
あーあーめんどくせえ。
探せば分かる。時間もねえんだ。
早く見つかれよ。
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