しょーと

□西新宿清掃員
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西新宿のとあるビルの清掃員


それがあの人の職業です




「ねぇキミ、ちょっとオレらと遊ばない?」

突然ですがからまれてます

「私用事があるので」

そそくさと立ち去ろうとした私の前を、とおせんぼするように立ちはだかる。

「平日の昼間に高校生が用事なんてないんじゃない?そんなことよりさ」
「悪いですけど私高校生じゃありません!あなたたちのように暇ではないので失礼します」

私の言い方が気にくわなかったのか、男たちの態度が変わった。

「大人しくついてくりゃ手ぇださなかったのによっ」

一人が拳を振り上げた。殴られる、と思い身を固くする。が、その拳があたることはなかった。

「女性に対しての礼儀ってもんがなってないんじゃねーの?おにーさんたち」
「んだよ、テメー」
「そこのビルの清掃員」

右手にモップ、左手にバケツをぶら下げてけだるそうに立つKKさんがいた。

「オレらの勝手だろ。おっさんは黙ってな」
「あのなぁ、そいつは俺の女なの。人のもん勝手にとろうとしてんなよ」

久しぶりに見た、彼の掃除屋としての顔。
男達は驚き逃げていった。

「大丈夫か?嬢ちゃん」
「おかげさまで。というか『人の女』扱いをしておいて嬢ちゃんって呼ぶのやめて下さいよ」

そりゃそうだな、とニヤリと笑い私の頭をポンポンと叩いた。

「で、用事は?」
「……何処から見てたんですか」
「声掛けられてた辺りから」
「最初っからじゃないですか。もう少し早く声を掛けてくれればよかったのに」

タイミングぴったりだろ?彼にしては珍しく、にへらと頬を緩めた。半分呆れながらそーですね、と軽く流して仕事に入る。

「今回は表の仕事です」
「パーティーか?」
「はい。MZDからの伝言で“パーカッシブの2、よろしく!”だそうです」
「へいへい了解しましたー、と」

いかにも面倒臭いという風に煙草に火を着けるKKさん。彼の口から吐き出される煙を眺めていたら、KKさんが慌てたように聞いてきた。

「嬢ちゃんはコレ嫌いだったか?」
「違いますよ」

苦笑混じりで答えると相手からも同じように返される。

「そろそろ仕事に戻りますかね。嬢ちゃんは?」
「そうですねぇ……私の仕事はもう終わりましたので、此処でかっこいいお兄さんの仕事が終わるのを待っていようと思います」

KKさんが一瞬驚いた顔をして、それからお互いにニヤリと笑った。

「それじゃかっこいいお兄さんはさっさと片付けでもしてくるからそこで待ってろよ?可愛いお嬢さん」








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