その1
□10:硝子越し
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初めてジャックを見たとき、アイツは液体に満たされたガラスの中で目を閉じて丸くなっていた。自分と同じ顔をした、暗殺兵器。
――早く出てこねぇかな?
よく分からなかったけど、その時の俺は毎日のようにのジャックを見に行った。でも、ただ見るだけ。名前すら知らなかった。ある日、何時ものようにジャックを見に行った。何時もなら静かに丸くなるジャックを見て、気が済んだ部屋に戻る、はずだったがその日は違った。戻ろうと考えているとき、ジャックが動いた。ゆっくりと目を開け周りを見回す。ついにその紅い瞳が俺に向けられた。無意識の内に俺はガラスに――ジャックに向かって手を伸ばしていた。それに応えるようにジャックのほうからも手を伸ばしてきた。
硝子越しにお互いの手を合わせた時、アイツが少しだけ笑ったように見えた。
++++
アサ兄視点の2+1でしたー
二人は大きなガラス管で産まれた、的な
アサのほうがなんかあって少し早く出てきて俺がお前の兄貴だーとかジャックに言ったみたいな
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