しょーと

□「だいすき」
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――…。


……なんか、重い…
ぼぉっとする頭で考えながらうっすらと目をあけた。途端に広がるオレンジ色。

「目ぇ覚めたか?」

オレンジ色はアサの服だった。いつの間にか帰ってきていたみたい。

「いつ…かえってきたの?」

まだ眠くてちょっと呂律が回らない言い方に苦笑しながらもアサは答えてくれた。

「ついさっき」

あやすように撫でられて瞼が閉じかけてきた。でも渡したいものがある。

「あのねぇ、今日はばれんたいんってゆうんだって」
「そうだな」
「それでね、ちょこ、つくったの。これね、アサの分…だよぉ…」
「…さんきゅ」

アサが優しく抱きしめてくれて、アサの胸に顔を埋めながら瞼を閉じた。



意識が飛ぶ直前にわたしが呟いた言葉が彼に届いたのか分からないけれど、わたしを抱きしめる腕が少しだけ強くなった気がした。











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