ノマカプ小説
□眠れぬのなら月の下
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ベンチに腰掛け、空を見上げる。
かつて、ブルックリンの悪魔と呼ばれた自分。
今は更正したつもりだけど、きっと私たちの被害者からすれば、
私たちは永遠に悪魔だろう。
とりとめのない思いが次から次へとあふれ、それでも泣く気になれず、
足元の小石を蹴飛ばした。
その時
「何やってんだ?こんなところで」
夜の闇の向こうから、聞き覚えのある声が聞こえた。
「……キッド?」
木の葉の隙間からこぼれた月光の中に、キッドの姿が浮かび上がる。
「昼に様子がおかしかったから気になってな。部屋にいなかったから、探しにきた」
「なんでここがわかったんだよ」
「……お前の行きそうな場所くらい、大体予想はつくさ」
トン、とリズの横にキッドが座った。
かすかに互いの指が触れるか、触れないか。
そんな位置に座り、キッドが口を開く。
「思い出してたのか?昔のこと」
「何?なんでもお見通しってヤツ?」
困ったように笑うリズに、
「お前が悩むとしたら、それくらいしかないだろ」
軽い憎まれ口。