ノマカプ小説
□眠れぬのなら月の下
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ふわ、とリズの手に、キッドの手が重なった。
「キッ…////」
「リズ」
二人の声が重なり、一瞬の間があく。
「いいか?今も昔も、お前はお前だ。過去を変えられるわけはない」
「……」
「でも」
「……」
「今は変えられるだろ」
「……!」
「今は今だけを生きろ」
一瞬の、静寂。
「大切なのは、今だ。昔を悔やむ前に、今、自分が正しいと思う道を歩け。……もしそれでも悩むことがあったら」
いつだって、聞いてやるから。
一緒に、悩んでやるから。
眠れないなら
一晩中でも
一緒にいてやる
ぎゅっと手を握られ、リズは既にベンチから立ち上がったキッドを見上げた。
「ほら、帰るぞ」
そっと腕を引かれる。
「星があんまりバラバラな位置で光ってるから、イライラしてきた」
少し肌寒い夜
でも
つないだ君の手はあたたかく。
ありがとう
小さく、つぶやいた。
ツキアカリノシタ
ねくすと・あとがき