シュバルツ短編
□lustig
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たまには馬鹿騒ぎでもしてみたり
でも本当のお馬鹿さんには、
それが日常茶飯事か?
苦労するのは、
真面目な苦労人ばかりです
『lustig』
その日、ケヴァンは平和に過ごしていた。
特に敵の襲撃もなく。
しかもいつも騒がしい奏や内海の姿はない。
(平和だ…)
のんびりと過ごせるこの時間。
ケヴァンは噛み締めた。
でも、平和なんてそんなに長く続かない。
というか、続くはずもない。
何故なら彼の周りは、いつだって騒がしいのだから。
そうそう静かな時間が続くなんてありえない!
そして今も。
―ドタドタドタ
静寂を破る足音二つ。
それが確実に迫ってきている。
それを聞き、ケヴァンは溜息一つ。
(もう終わりか…)
そう思いつつ、読んでいた本を閉じた。
…帰ってきた足音の持ち主たちを迎える為に。
近づいてくる足音。
そして。
「よ、神楽崎!」
「ただいま〜!!ケヴァン」
扉を壊しそうな勢いで入ってきた彼らに、ケヴァンは大きな大きな溜息を吐いた。