短編
□猫の気持ち
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ご主人様。
僕はあなたが大好きです。
だから、幸せになってね。
『猫の気持ち』
僕の名前は『トト』
黒い艶々した毛並みが自慢の黒猫です。
僕は『アッシュフォード学園』というところの『クラブハウス』というところで飼われています。
ついこの間までは、『野生』というやつで、自由気ままに暮らしていたのですが、先日『ご主人様』と出逢い、そのまま飼われることとなりました。
僕は、僕を拾ってくれたご主人様が大好き。
だから、ご主人様に拾われて良かったと思います。
でも、僕はご主人様のもとで暮らせません。
何でも、ご主人様は『軍人』らしく、ご主人様の暮らしている場所では猫は飼ってはいけないそうです。
ご主人様は悲しそうでした。
せっかく僕を飼いたいのに、飼えなくて悲しいって。
そんなご主人様を見ていたら、僕も泣きそうになりました。
でも、そんなご主人様に『あいつ』が言いました。
なら、俺がその猫を飼ってやるって。
その言い方にはむかっときました。
もともと、『あいつ』のことは何となく好きじゃなかったし。
たぶん、野生の勘というやつです。
でも、ご主人様が凄く喜んじゃって…。
だから僕も我慢することにしました。
だって、ご主人様の笑顔のほうが大切だもん。
そんなわけで、僕は今、ここにいます。
『あいつ』は好きじゃないけど、ここはとても居心地がいいです。
『あいつ』の妹のナナリーは、とっても優しいし(妹ってのが信じられないくらいっ!)、皆僕のことを可愛がってくれます。
だから、僕はここにいれて幸せ。
それに、時々ご主人様が僕に会いに来てくれるから。
「トト〜!」
ほら、今日も来てくれた。
優しい笑顔をいっぱいに、僕の名前を呼んでくれる。
だから僕は嬉しくて、いっぱい走ってご主人様に駆け寄った。