短編
□call me!
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僕の名前を呼んでよ!
『call me!』
「絶対無言パーティ?」
スザクは聞いたことのない言葉に、首を傾げる。
「そう、何が何でも無言を突き通すこと。中々変な企画だろう?」
首を傾げるスザクに、ルルーシュは苦笑いを浮かべながら答えた。
話の発端は、生徒会で今度の企画を何にするか?という疑問が上がったことにあった。
何気に生徒会の面々に気に入られこの場にいたスザクも、この議論に参加していた。
突然、企画と言われてもスザクにはわからない。
だから、過去の企画は何だったのか、とスザクは隣にいたルルーシュに聞いた。
そしてその中で、絶対無言パーティという企画が出てきたのである。
スザクとしては、最初の男女逆転…とか何とかいうのも気になったが、内容が何となくわかったので聞かないことにしたのだ。
そして、話は冒頭へと至る。
「何だか…楽しそうな企画だね」
ルルーシュから説明を受けたスザクは、微笑みながら答えた。
7年間軍にいたスザクにしてみれば、学校での文化祭的なものは長らく経験がない。
だから、素直に楽しそうだと思った。
そんなスザクに、ルルーシュは『そうか?』と言わぬばかりに顔を顰める。
何か嫌な思い出でもあるのだろうか?
スザクは再び首を傾げた。
聞いてみようか、とスザクが口を開いたとき、突如元気な声が割り込んでくる。
「さぁ!意見は纏まった?どう、スザク君?」
その声の主は無駄にハイテンションなミレイだった。
彼女は企画を考えるのが楽しくて仕方ないらしい。
その様子は、スザクにもわかった。
でも、いきなり振られても…非常に困る。
スザクは焦った。
ミレイの目はスザクの意見を待ってキラキラ輝いている。
ここで意見を言わなければ、期待を裏切るかも…と思う。
でも焦る頭ではいい意見など浮かんでくるはずもなく。
スザクはさらに焦って悪循環を起こしていた。
そんなスザクを見て、ルルーシュは微かに溜息をつく。
器用貧乏…なんだよな、とルルーシュは思う。
普段は結構何でもこなすくせに、変なところで不器用だ…。
それはスザクのいいところなのだが…。
そう思っている間にも、スザクは見事ドツボに嵌っていた。
そろそろ助けてやらないと…。
ルルーシュはやれやれと腰を上げ、目を輝かせているミレイに言い放った。
「トイレにいってきます」
そういうと同時に、スザクの腕を引っ掴み、返事が帰ってくる前にさっさと部屋を出た。
残ったのは、唖然とした生徒会のメンバーたち。
しばらく唖然としていたが、いち早く復活したミレイが悔しげに喚いた。
「逃がしたかっ!!!」
一度逃げたルルーシュが帰ってこないのは、生徒会メンバーの中では常識中の常識だった。