短編

□白の夢
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真っ白な君


今、すべてを塗り替えよう








『白の夢』







白い壁

白いベット



そして真っ白な君。




この空間はすべて白だ。





その中で君は眠っている。


それはとてもとても気持ち良さそうで、寝顔は穏やかでどこか幼い。



起こすには忍びないけど、もう昼過ぎだ。

さすがに起こさなければならない。




「スザク」

名を呼んで、シーツからはみ出た肩を揺らした。


ゆっくり、開かれる目。



ルルーシュが大好きな碧の目。



その瞳が開かれることに、ルルーシュは心の片隅でほっとしていた。




目が、完全に開く。

そしてその目がルルーシュを捉え、穏やかな色を映した。




「るるーしゅ…」

スザクが、その微笑のままルルーシュを呼ぶ。

まだ眠気が完全に取れていないのか、舌ったらずな声で。



そんなスザクにルルーシュは穏やかな微笑みで答えてやる。


そうすればスザクが喜ぶのを知っているから。




案の定、ルルーシュの笑みに安堵したのか、スザクは嬉しそうに笑みを浮かべる。

本当に嬉しそうで、穏やかな…そしてとても幼い笑みだった。



ルルーシュは微笑む。

スザクの為に。





何も知らない彼の為に。

















スザク。


彼は今、何も知らない。



いや、『ルルーシュ』という存在と、自分が『スザク』という名前だと言うことは知っている。


でも後は何も知らない。



わからない。







そう、スザクは何もかも『忘れて』しまった。






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