短編
□壊れた人形、壊れた柩
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壊れた世界で、君だけがすべて。
『壊れた人形、壊れた柩』
「何…で?」
スザクはルルーシュに問い掛けた。
目の前に広がるのは、真っ赤な世界。
血で血を洗う、死の世界。
この世界を、つくったのは自分を抱きしめる
ルルーシュ。
何で?と思う。
あの優しかった彼が。
何で?
スザクの問い掛けに、ルルーシュはこの場に似合わない、穏やかな笑みを浮かべた。
でもその笑みはどこか、変だった。
スザクは怯える。
純粋すぎる、穏やかな笑み。
でもそれは、おかしすぎる。
この場には。
スザクの体は無意識に震えた。
それを感じ取ったルルーシュは、スザクを優しく抱きしめる。
まるですべてから、守るように。
スザクは思う。
こんなに優しい腕なのに、
なのに、
どうして?
「どうしてこうなったの?」
囲われた腕の中から見えるのは、
壊れた
死の
世界。