短編

□トト
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皆は知らないんだね。

あの手がとても優しいこと。









『トト』








「痛いっ!」
スザクは思わず手を引っ込める。

「またやられたのか?」
そんなスザクを見て、ルルーシュは心配げにスザクを見た。

スザクの手には、痛々しい爪痕。
しかも血まで出ている。

ルルーシュは小さく息を吐き、スザクの怪我をしていないほうの手を引き、水場へと急いだ。
スザクはその後から、しょんぼり肩を落としながら着いてくる。
よっぽど残念だったらしい。
ルルーシュは再び溜息をついた。


スザクは猫が好きだ。
よく猫を見かけて触りたそうにしている。

でも、いざ触ってみれば今さっきの様に引っ掻かれる。
そして毎度毎度スザクはがっくりと肩を落とすのだ。



そんなスザクを見てルルーシュは思う。
何故あそこまで猫に嫌われるのか…。
一匹ぐらい、触らせてくれる猫がいてもいいだろうに。

いつも、そう思う。



でも現実は、猫は逃げるし、スザクは引っ掻かれるしの繰り返し。
スザクが猫に触れる日が来るのはいつのことやら。
ルルーシュは再度溜息をついて肩を落とした。
















皆は知らないんだね。

その雰囲気も、その手も。

とてもとても優しいものだって。





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