短編
□猫、ねこネコ?
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最近のスザクはあの猫に構ってばっかりだ。
『猫、ネコねこ?』
あぁ、今日もあの猫に会いに来たのか…。
ルルーシュは不機嫌まっしぐらな顔をした。
あの猫、と言うのはスザクが始めて触れた猫のことである。
それ以来すっかりスザクに懐いてしまって結局飼う事になったのだが、軍人であるスザクの部屋では飼えず、それを憐れに思ったルルーシュがこの場所で飼うことを提案したのだ。
で、結局その猫はここで飼われている。
そしてスザクはその猫に会うために度々ここへ訪れるのだ。
今日もスザクはあの猫を抱きしめて嬉しそうな顔をしている。
今まで猫に嫌われてきたための反動なのはわかる。
でもやっぱり面白くないだろう。
猫に会いに来る為に、大事な恋人がここまでやってくるなんて。
悔しいじゃないか。
ルルーシュの機嫌は急降下中だ。
「まぁお兄様。どうしたんですか?怒ってらっしゃるように感じるのですが」
突然部屋に入ってきたナナリーは、即座にルルーシュの気配を感じて不思議そうに問い掛けてきた。
さすがは妹というか何と言うか。
ルルーシュが不機嫌なことは顔を見なくてもわかるらしい。
だから適当にごまかそうとしてもすぐにわかってしまうだろう。
ルルーシュは素直に不機嫌な理由を語り始めた。
「スザクが…猫に構ってばかりだから…」
いざ、口にしてみて馬鹿なことだとは思う。
でも、やっぱり嫌なものは嫌だ。
ルルーシュはさらに不機嫌に眉を顰めた。
そんなルルーシュの気配が伝わったのか、ナナリーは微かに笑う。
でもそれは馬鹿にしたようなものではなく、どこか微笑ましいと思っているような笑みだった。
可愛らしい嫉妬だと、ナナリーは思った。
そしてそれと同時にあることを思いつく。
「お兄様。スザクさんの気を惹くいい考えがあります」
妹のその言葉に、ルルーシュは興味を惹かれたように体を乗り出す。
そんな兄の気配を感じて、ナナリーはさらに笑みを深めた。
そして、ある物を車椅子の後ろから取り出してくる。
「これです、お兄様」
そういって差し出されたのは…
「ね、猫耳?」
ルルーシュは思わず自分の目を疑った。