短編

□学園想詩
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本当は寂しかった

本当は君に縋りつきたかった



それは僕の弱さ










『学園、想詩』
story.1 スザク










「ねえルルーシュ。何で僕を生徒会に入れたの?」
スザクは少し怒ったように、ルルーシュに問い掛けた。

いや、実際怒っていた。
だってスザクは言ったのだ。

正体がばれたら困るから関わらないほうがいいって。

そう言ったのに。

なのにルルーシュはそれを見事に打ち破ってしまった。
しかもさらに危険な方向へと持っていった。
わざわざ関わる機会の多い生徒会に入れるなんて。
スザクには信じられなかった。


でも、そんなスザクにルルーシュは当たり前の様に答える。
「だって、お前を放っておけなかったんだ」

スザクはルルーシュの言葉に目を見開く。
だって、そんな理由で…。

「そんな!それだけで、自分の身を危険に晒して…っ!!」
スザクは我慢できなくて叫んだ。

だってそうだろう。
スザクは我慢をして、それでも他人同士でいようと言ったのに。
なのに。

「ルルーシュはずるい」
たった一言で、その努力も無駄にされた。


「スザク」
ルルーシュが名前を呼ぶ。
だけどスザクは答えない。

そう、これは意地だ。
最後の、意地。


いや、違うのかもしれない。
これは、弱さだ。



本当は寂しくて仕方なかった。
苦しくて仕方なかった。

邪険にされるたびに、苦しくて悲しくて寂しくて。
どうしようもなく、ルルーシュに縋りつきたくなった。

でも、それは許されない。
だってスザクが線を引いたから。



でも、
それでも、


「無理…だった」
言葉はスザクの意思に反して吐き出された。



言葉が出た途端、スザクは自分の体が何かに包まれた感触を覚えた。
一瞬、戸惑う。
でも答えはすぐにわかった。

「ルルーシュ…」
ルルーシュが、スザクを抱きしめていた。

「どうして?」
スザクは問う。
思わず。
本当は、この問い掛けがずるいことだと知っている。
だって答えはすでにわかってるのだ。
でもルルーシュから、聞きたかった。
用意された答えを。


「無理するな」

その瞬間、スザクの頬に涙が伝う。

弱い、弱い自分。

自分で彼に線を引いておいて、結局彼に縋ってる。

ずるい、ずるい、ずるい。

でも止められない。


「怖かった…辛かった…苦しかった」
一度漏れ出てしまえば、もうとめることはできない。
涙もまた、同じ。

スザクはどうしようもなくなって、目の前のぬくもりに縋りついた。
それと同時に、抱きしめた手に力が入るのを感じた。


涙が、止まらない。


「ごめんなさい…」
これは何の謝罪なのだろう。
スザク自身にもわからなかった。




もう止めることはできません
どうか、どうか、今だけは
縋りつく僕の弱さを許してください



end.
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