短編
□猫
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君はどこかの誰かさんによく似てる
ほら、そっくり
『猫』
スザクは木陰に身を預け、本を読んでいた。
学生の本分は勉強であると思っている。
だから、予習も復習も欠かさない。
それに、軍に居たために、スザクは他の皆に比べて勉強が遅れ気味である。
余計に勉強が必要なのだ。
「んー…」
スザクは本と睨めっこをしながら唸った。
中々勉強が難しい。
こんなことならルルーシュに聞けばよかった…と、スザクは思った。
と、そんなときだった。
ーかさり…
スザクの近くの植え込みから微かな音が聞こえたのは。
「…?」
スザクは音のしたほうに素早く反応し、身を構えた。
スザクは元々軍人である。
例え小さな物音でもすぐに反応するように訓練されているのだ。
「…誰?」
微かにざわめいた植え込みに、スザクは慎重に言葉を紡ぐ。
しかし答えは、返ってこない。
それを不審に思い、スザクは注意深く植え込みに近づいていった。
近づいた植え込みを、慎重に避けていく。
葉っぱの間のその先に、
黒い影が見えた。
それは…
「…猫?」