シュバルツ短編

□Schutzen
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何故、

何故?



心の中には、今まで持ち得なかった疑問だけが浮かんでいる





何故、こんなにも心惹かれるのか




何故、命じられたことを否定してまでも、























『Schutzen』





















―『作戦が失敗した』


そうアランから連絡が入ったのは、ジュードとまさに戦っているときだった。


ギドは考えた。


作戦が失敗したのなら、もうここに止まる理由は無い。

ならば、即時撤退すべきだ。


情や心を徹底して排除した脳は、そう判断している。


他のヴァンの超騎士ならが、自ら標的を処分しに行くかもしれない。
だが、ギドは違う。

自分に課せられた命は、『アース派の騎士の足止め・若しくは処分』だ。

命令以外のものを遂行する、という考えははじめから持ちえていなかった。
否、『命令を遂行する』ということが、考えを占めている。


それしかないのだ。



「待て、ギド!!」

即時に判断したギドは、攻撃の手を一転して逃亡することへと変えた。

それによって一瞬、ジュードに隙ができる。
それをギドが逃がすはずがなかった。

精霊術による攻撃を仕掛け、無防備なジュードにぶつける。

動けなくなるジュード。

出来た隙に、ギドは身体を反転させ、逃走に入る。


その背を見て、ジュードは叫んだ。


「逃げるということは、作戦が失敗したということか!!」

「………」

焦りを含んだ叫びに、ギドは答えなかった。
答えたところで、こちらに利益があるものではない。
むしろ、あちらを勢いづけることになりかねない。

ギドは口を閉ざしたまま、身を翻した。



『作戦は失敗した』



頭に繰り返される言葉を耳に残しながら、ギドは走った。



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