シュバルツ短編

□Nichts zu danken
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私は躊躇しない

他の仲間たちとは、違う



私は躊躇しない

たとえ、目の前の子どもが無力で小さな子だとしても



…私は躊躇しない

躊躇わない


私は知らない

知らない振り


どうせ、私は…



悪者ですから



















『Nichts zu danken』

















ジュードに連れられてやってきた子ども。

それが標的だった。



カイザーの心臓を持つもの。

黒い心臓を移植されたもの。



見張る為に遠くから見守ったことはある。

資料として写真等で見たことはある。


だけどこんな近くで見たのは初めてだった。


小さな子ども。

とても小さな子どもだった。


細い肩。

白い頬。

華奢な体。


すべてが、『守りたい』と思わせる雰囲気を持っている。



でも、不思議と。
カサンドラはそうは思わなかった。

普段なら、きっとそう思うだろうに。

でも何故だろうか。

そんな感慨すら起こらなかったのだ。



何故…。

カイザーの心臓を持つからだろうか?


でも、それだけではない気がする。







それは…。



例えば、1人蚊帳の外にいるような。

1人、外から冷静に『それ』を見ているような。



今は、ただ。

そんな曖昧な答えしか出せなかった。





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