iroiro

□君に大好き
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その日は特別な日


だから『彼』はあるひとつの提案をしました




















『君に大好き』



















その日は朝から少し様子が違いました。


教室に響くのは朝の挨拶の声。

それはいつものことだけど、でも教室に入ると少し違っていました。




「スザク!」


一番に声をかけてきたのは、生徒会の仲間であるシャーリー。
明るい彼女の声はよく通って周りの雰囲気も明るくさせます。

そんな彼女の声に、スザクは思わず笑顔になって挨拶をしました。


「おはよう、シャーリー」


そう言うと、シャーリーも同じように挨拶を返してきます。
そして。

「おはよう、スザク!それからね…」

「...?」

何かを続けようとしているシャーリーにスザクは不思議そうに首を傾げました。
彼女の顔はいつも以上ににこにこと嬉しそうだったから。


するとにっこり笑ったシャーリーは、ずいっとスザクに迫ってきて…。


「大好きよ、スザク!」


突然そんなことを言ってきたのです!


「………え?……えーー!?!?」

たっぷりの沈黙の後、スザクは思いっきり叫びました。

だってそれは告白とも取れる言葉。
しかも年頃の女の子が、いきなりそんなことを言えばびっくりするのは当たり前。

特に今まで女の子と関わり合うことのなかったスザクとしては、それはもうびっくりです。


「な、な、…に…?」


スザクはオロオロとしながらシャーリーに聞きました。

突然何故そんなことを言ったのか、と。

でもシャーリーはニコニコと笑うばかり。


「ふふ、じゃあねスザク!」

それどころかうろたえているスザクを放って、走り出してしまった。

「ちょ、ちょっと!?」

スザクは慌てて引きとめようとするけど、シャーリーは止まるどころかさらに早く走っていってしまいました。
あっという間に豆粒の様に小さくなって、スザクにはそれ以上引き止めることができません。

残されたのは茫然とするスザクと、呆気に取られるクラスメイトたちだけ。


「…一体…、何なんだ…?」


そう呟いてみても、答えは一向に出てきません。

ただただ、無音の風が流れるだけ。




でもおかしなことはこれで終わりではなかったのです。

もっとおかしなことは、再び迫っていました。




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