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□君はただ、優しかっただけ。
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『ごめんなさい、雲雀さん・・・ごめんなさい・・・』

君は泣きながら、同じ言葉をひたすら繰り返していた。
君は何も悪くないんだ、ただ、優しかっただけ・・・。








綱吉は可愛かった。最初は弱いだけかと思っていたけど、何度か君の戦いを見ていくうちに、隠された君の強さに気付いた。
そして、だれよりも優しい。
可愛くて、強くて、優しい君は、誰よりも美しかった。
そんな君に惹かれ始めたのはいつごろだったんだろう。少なくとも、あの男よりは早かったはずだ。あんな、突然僕たちの世界に割り込んできた男なんかよりも・・・。



『君、綱吉くんのことが好きなんですか?』

『・・・君に関係ない。さっさと僕の前から消えて、目障りだ。』

『クフフ、図星のようですねぇ・・・。』


初めて会ったときから、アイツの印象は変わらない。ひどく不愉快だ。ニヤけた顔も、僕より高い身長も、そしてなにより、綱吉を見るときの表情が。






『ねぇ、綱吉・・・もう、気付いてるかもしれないけど、僕は、君のことが好きだよ。』

『でも、雲雀さん群れるのキラいなんじゃ・・・?』

『大嫌いだよ。でも、綱吉は別。じゃなかったら、こうして何年も君の傍にいたりはしない。』

『・・・嬉しい、です・・・。俺も、雲雀さんのこと大好きだったから・・・。これからも、ずっと傍にいて下さいね。』

そう言って笑った綱吉は、本当に綺麗だった。
微かに赤く染まった頬に口付けると、真っ赤になって慌てふためいて。
生まれてはじめて、こんなにも他人を愛しいと思った。






『・・・綱吉・・・今、なんて言ったの?』

『・・・俺、骸と付き合うことになったんです・・・だから、プライベートで会うのは、今日で最後にしましょう・・・。』




本当に、不愉快だ。
いつもいつも、僕の大切なものを壊していく。



『ごめんなさい、雲雀さん・・・ごめんなさい・・・』

『このままじゃ、骸が壊れてしまいそうなんです・・・俺と一緒になれないなら死んだほうがマシだって、この間も自殺未遂しかけて・・・』

『ごめんなさい・・・本当に・・・ごめんなさい・・・!!』


涙で海ができるんじゃないかと思うほど泣きつづける綱吉に、僕は優しい言葉ひとつ言ってあげられなかった。
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