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□純愛ノイローゼ
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「アレン」
「なんですか師匠」
「出掛けるぞ」
「え、どこに」
ニタァ…、と。
その笑みはまるで悪魔そのものだったと、のちに少年は語ったらしい。
【純愛ノイローゼ】
「おいおい、アレだけ大口叩いて於きながらまさかこの程度か?」
両手に美女を抱え込み、薄ら笑いで相手を見下す。
彼をよく知る人物ならば彼らしいと苦笑するだろうし、彼を知らない人物なら馬鹿にするなと憤慨するだろう。
「っ、くそ…馬鹿にしやがって!お前イカサマしたんだろッ」
ちなみにこの場合は後者だ。
怒り狂う相手を小馬鹿にしたように鼻で笑うと、クロスは席を立った。
勿論目の前に高々と積まれた金の山を忘れはしなかったが。
「…全く、正々堂々と勝負した相手に向かってイカサマとは言ってくれるな」
「五月蝿い!もう一度だ!」
未だ自分を睨み付ける男を見下ろすと、やれやれと言った様子で首を振る。
「自分の負けを素直に認められないような男と勝負するつもりは無い。……が」
男の言葉をぴしゃりとはねつけ踵を返したクロスが、何かを思い出したように立ち止まる。
「そうだな、それでもアンタが勝負したいというのなら、」
そしてその視線が、
「コイツが相手してやろう」
幼い弟子へと注がれた。
「ぅわぁ…そりゃキッツイさ…」
「でしょう!?初めて賭場に連れていかれたその日にですよ!しかもそのまま女性とどこかに消えてしまって……ぅっ」
「あっ、アレン落ち着くさ!」
「そうよアレンくん、泣くのはまだ早いわ!だってほら、クロス元帥がアレンくんにポーカーを教えてくれたお陰で、」
私達いまこうやって、美味しいデザートを食べてるじゃない!
(他人(ヒト)のお金で食べるスイーツは最高よね!)
理不尽に絡まれたからには相当のお礼を貰わなければ!
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アレンがポーカー覚えたのも師匠への愛があったからですよ、という話。(伝わりにくい)