深緑の国

□Please…
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「……ん…」


体が重い。
目を開けることすら億劫で、僕は軽く寝返りを打って布団に潜り直した。
微かに感じる温もりに近づくために、もぞりと身体を動かす。
温もりの根元を探り当てて、ぎゅっと抱きついた。

「起きたのかい、まるほどう」

途端に降ってくる柔らかな低音に眠気が助長されるのを感じながら…僕はぐいぐいとゴドーさんの胸に頭を押しつけて口を開いた。
「…まだ寝てます」

「起きてんじゃねえか」

呆れているのがハッキリ判る声音で、だが微かに笑いながら言った彼は、優しく僕の頭を撫でてくれた。
「モーニングコーヒー、淹れてきてやるからちょっと放してくれよ、コネコちゃん」

ぽんぽんと叩かれて、渋々僕は腕を解放した。
するりと離れていく温もりが寂しくて、先刻まで恋人が居た場所に身体を落ち着ける。
彼が残した温もりと香りが心地よくて。
暫く動きたくないと思った。



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