深緑の国

□Surrender
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ふと、目が覚めた。
微かに感じる光の加減で、まだ明け切らぬ朝であることを認識する。

夢を、見た気がした。
既に残り少ない夢の残滓からも、体中にまとわりついている気持ちの悪い汗からも、それが良い夢では無かったことが判る。

「今更何を夢見たんだか」

悪夢なんて、もう見飽きるほど見た筈なのに。
5年も続いた眠りの内に、一生分の悪夢を見たと思っていたのに。

「なるほどう」

傍らにいない恋人を想う。
仕方がないのだ、彼は第一線で活躍する弁護士なのだから。
師匠の先輩という立場からすれば…彼が仕事で多忙であることは喜ぶべきこと。

けれど。

「クッ…恋人に一ヶ月も会えねえで平気なオトコなんざ…いねえ、ぜ」

恋人という立場としては、辛い。
異常なくらいに依存している、その自覚はあったけれど。
電話では足りない。
メールではもっと足りない。

「会いたい」

「愛しい」

彼が足りない。
きっと、足りないから悪夢を見る。



いつの間にか
心も体も、彼に屈服していて。
甘やかに、降伏を叫んでいる。


Sweet Surrender is
all that I have to give.

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