深緑の国

□真実の詩
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暗い闇の中、僕は一人迷い立ちすくんでいる。
足下も見えない闇。

探しているんだ。
地獄の果てまででも追い求めようと、ひたすらに。

脇目もふらず、僕が一心に目指していたのは…真実。

何処かに眠る真実を見いだすために、僕は一人、走り続けて…いつの間にか、この闇に居た。


――寒い。


この闇は、寒すぎる。
求めるモノは、未だ遠い?
どうして今、僕は一人なんだろう。

確かに、誰かが隣に居た筈なのに。

誰か…誰が居たのだったか。


――御剣…矢張…ちいちゃん…千尋さん…真宵ちゃん…


誰かを、忘れている気がする。
一番、傍に居てくれた人。
一番、傍に居たいと思った人。


――寒い、よ。


貴方が居るから、何処までも真実を追い求められるのに。
貴方が居るから、暗闇も恐れず飛び込めたのに。


――何処?


竦んだ足を、無理矢理動かして。
悴んだ手を、前へ伸ばして。

真実を追い求めていたはずの僕は、
今貴方を求めて彷徨っている。


遙か彼方に、何かが見える。
赤い…光。
そこに在るのは真実?
そこに居るのは貴方?


――嗚呼。


思い出した。
僕の大切な人。

解き放たれた足を必死に動かして、僕はその光に向かった。

貴方と共に、僕の求める真実は在る。

僕が求めている真実は、貴方。



「ゴドーさん…!」




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