深緑の国

□いつまでも
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「ありがとう、いつも助かるよ」

「いや、情報を共有して困ることなど無いからな」

資料を抱えてソファから立ち上がった成歩堂は、私に向かってにこりと笑んだ。
向けられた笑顔に胸の内がふわっと温かくなり、私の顔にも自然と笑みが浮かぶ。

「さて、そろそろお暇しようぜ、まるほどう」

彼の隣に立つ男の無粋な声に一気に頬から力が抜け、代わりに少しばかりこめかみに力が入る。

「それもそうですね。じゃ、明日はお互い頑張ろうな、御剣!」

神乃木氏に続いて扉をくぐった成歩堂は、軽く手を振って去っていった。
自分でも判るほど引きつった笑みを浮かべて見送った私は、扉を閉めるなり、軽くため息を吐く。

頭を軽く振ってからデスクに戻り、明日の裁判の資料の山から一冊引き抜く。
と、今しがた出て行った二人の顔が、ふと脳裏に浮かんだ。

『実は僕、ゴドーさんと付き合ってるんだ』

そして同時に頭の中で響いた、まだ記憶に新しい成歩堂の声に、私はもう一度、げっそりと溜息を吐いたのだった。




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