深緑の国

□PRISONERs
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「よォ、まるほどう」
軽く手を挙げて、彼はガラスの向こうに腰掛けた。
「ゴドーさん、いよいよ明日ですね」
言いながら、僕は暫し感慨に耽る。
(裁判が終わった直後は、神乃木さんと呼んでいたっけ)

初めての面会のとき、僕は無意識に彼をゴドーと呼んで。彼もその方が良いと言うから、以来僕が彼の本名を口にしたことは無い。

「明日か」

低い柔らかな声が耳に染みて、改めて目の前の男を注視した。

……変わらない。

この、五年、という長い年月。
ゴドーはちっとも変わらない。優雅な物腰も、ニヒルな笑みも、言葉の端々に滲み出る知性も。

嗚呼。
変わったのは、僕の貴方への想いだけなのだろう。……それを伝えなくては。今、この場で。




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