深緑の国
□真実の詩
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成歩堂が、熱を出した。
半年に一度の検査入院でオレが目を離している間に…無理な捜査をしたらしい。
検査が終わり、大嫌いな病院からようやく離れられると思った矢先に、成歩堂が緊急入院したのだ。
現場で高熱を出して、ぶっ倒れて。
「まったく、何を考えていやがる」
青白い顔で、苦しげに眉を寄せ。
瞼は固く閉じられ、いつもよりかさついたように見える唇は薄く開いて…熱っぽい息を吐いて。
――早く、目を覚ませ。
熱くじっとりと汗ばんだ額に手を当てて、オレは一人溜息を吐いた。
大きな目を見開いて依頼人を見つめて、話を聞いて。
一度信じたら梃子でも動かない。
自分の全てをかけるように、何処までも、脇目もふらずに真相を追求する。
隣でサポートしたいと思った。
何があろうと、この男を守ろうと。
残された人生を、二人共に、真実を追求することにかけようと。
オレはその為に、目覚めたのだと。
だから、無理はするなと言っておいたのに。
検査が終わってからでも、間に合うからと言ったのに。
一人で雨の中、無茶をして。
「馬鹿野郎」
傍に居てくれると、アンタ言ったじゃねえか。
傍に居たいと、オレだって言っただろう?
一人で居るこの世界は、あまりに寂しく、あまりに悲しい。
その大きな目で、オレを見つめてくれ。
微笑んで、一人じゃないと感じさせてくれ。
早く、早く――。
「成歩堂…!」
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