「〜っ、寒みぃ!」
「…やかましい」
「だって寒いじゃん!?もう3月なのにさ」
「年明けよりか暖かいだろうが」
「そうだけどさ…」
「一応もうすぐ4月なんだ、そんな長引かねぇよ」


暦の上では確かにもう春。
けれど、外で吹く風はまだ冷たい。
はぁ、と手に息を吐いた時にふと気付いた。


「あ…」
「どうした?」
「三蔵の言う通りだね」
「どういう意味だ?」
「ほら、あそこ」


悟空が指さす方を見上げれば、微かに枝が桜色に染まり始めていた。


「そっか…もうすぐ春なんだ」


横で三蔵が煙草に火をつける。
そして吐き出した白煙が空へ昇っていく。
その様子を目で追った後、再び小さな蕾を見ると心が暖まるのを悟空は感じた。


「ねぇ三蔵、」
「?」
「この桜が満開になったら、また見に来ような」
「…好きにしろ」




必ず冬が過ぎれば春が来るから
今は雪溶けの時を隣にある温もりと待っていよう




――――――
東北関東大震災を被災した地域と方々の生活が1日でも早く戻る事を心からお祈りしています。

今、私が出来る事はこまめに電気を消したり、募金したりなどの些細な事ばかりです。
ただ、私が書いた文で少しでも元気を分ける事が出来たら幸いです。


清真燕


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