Sugar Nightmare
□No1 夜の夢には甘い甘い罠がある
5ページ/8ページ
歩き始めてから約1時間。夜総玉に着いた。
「久しぶりだなぁ〜。」
渦さんが懐かしそうに言う。薫がちょっとだけ後ろに下がった。
何でだろ・・・?
「夕、ちょっと後ろに下がった方がいいっすよ。」
椿に言われて少し下がる。
・・・だから、何で?
足音が聞こえてきて、渦さんが後方に飛ばされた。
「?!」
「ね?」
椿が小首を傾げて笑ってきた。
「アレは、渦の持ち精霊ですよ。俺以外の。」
薫が渦の方を見ている。
その眼差しは決して優しいものではなく、少し哀愁帯びたものだった。
「渦ぅ〜!!!よくもあたしたちを置いていったわねッ!!!」
ピンク色の髪の女の子が、渦さんの頬を引っ張っている。痛そうだなぁ。
「そうだよぉ!!!薫だけだなんてズルイぃ〜!!」
水色の髪の色の男の子が、渦さんをけっている。何か・・・、酷いなぁ。
「・・・私たちをなめているのか?あんな未熟者精霊だけを連れて行くなど、どんな頭を持っているんだ。
」
緑の長い髪を後ろに流した女の子が、渦さんを見下している。
みんな、怖い・・・。
あ、男の子が走ってきた。薫とあんまり身長差がないんだ。
「お帰り。大丈夫だった?」
「マナ・・・。うん。何にも無かったよ。」
「久しぶり、マナ!」
「椿!早かったんだねっ!!」
元気がいいなぁ。みんな。
向こうから言い争う声が聞こえてくる。
「あたしたちの力が、新人に劣るもんですか!!」
「葉流(はる)」
「だから、言ってるんだ。私たちを連れて行けと。」
「メグ」
「未熟者なんかに負けないよ!!」
「う・・・ぁ・・・」
薫が苦しそうにしゃがみ込んだ。
「薫!!マナ、渦たち止めて来いッ!!」
椿が薫の隣に屈み込んで背中を擦る。薫はまだ苦しそうに息をして、顔色も悪くなってきた。
「うん!!薫、診ててよ!!」
「任せろ。」
マナ君が走って行った。
「げほっ・・・ぅぁ・・・、
つばき・・・ごめん・・・」
薫がしゃべった。
「大丈夫だ。お前の方が心配だよ。まだ、駄目なんだな。」
「・・・ぅん・・・けほっ・・・」
「だから薫は未熟だと言っている!!」
ビクンッ!!
薫の身体が大きく震えた。