Sugar Nightmare

□No1 夜の夢には甘い甘い罠がある
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外に出ると、生暖かい風が吹いていた。

「熱い・・・」
薫が大きく息をしたのが分かった。
「大丈夫か?薫。お前の周りだけでも冷やしたらどう?」
渦さんが薫を覗き込みながら言う。

「薫は、氷の精霊なんっスよ。だから、熱いのは好きじゃないらしい。」
さっき言った通り、微妙な敬語で話す。
「椿はどうなの?」
「ん〜・・・わかんない。」





「行くよ」




さっきまで何も無かったところに、大きな扉があって、開いていた。

「うわぁ・・・。」
「しっかり俺に捕まってください。離さないで下さいよっ!!」
椿の腕にしがみ付く。


いきなり、地面が離れた。
目が回って、込み上げる嘔吐感。

気持ち悪い。














「主。着きましたよ。」
椿の声に、目を開ける。
椿が俺を背負ってくれていた。
「あ、ありがと。」
「いいえ。これぐらい、当たり前っスから。」
大きな目を細めて、にっこり笑う。男ながら可愛い笑顔だ。
「夕ちゃん、大丈夫?」
「はい。すみませんでした。時間を無駄にしてしまって・・・」
「大丈夫。薫も苦手だから。」
薫が顔を出して恥ずかしそうに笑う。
「酔っちゃうんですよねぇ。」

「まあ、行こうか。夜総玉。」
「やそうぎょく?」
下で転がしてみるものの、あまり分からない。玉?

「んと、大きな宮殿っスよ。精霊たちが住んでるお城。」
椿が隣で教えてくれた。
「そうなんだ・・・。」

「早く行きましょう。渦、皆が待ってますよ。」
「え?マジで?やべっ!!メグに殴られるじゃん;」

とりあえず、進み始めた。


宮殿は、大きくて青白く光っていた。
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