Sugar Nightmare

□No1 夜の夢には甘い甘い罠がある
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「あんなに弱いんだよ?!そんなヤツが渦を守れるの?!」


二人の大きくて、怒っている声。


「おい、」


「「?!」」


マナも歩みを止める。
ここからでもよく声が聞こえた。
何よりも、渦さんの声が怖かった。

「けほっけほっ・・・はぁ・・ぁ・・・椿っ!・・うず止めないとっ!!」

薫が目に涙を溜めて椿を見ていた。
椿は優しく笑って、
「大丈夫。」
と呟いた。




「お前たちは、どうして薫の事を認めない?」
「未熟者だから。」
「弱いもん。」

渦さんが立ち上がってこっちを見た。
その顔が、驚きに変わる。


「薫ッ!!」


こっちまで駆け寄ってきて、薫を椿から受け取る。
「薫・・・。大丈夫か?ちょっと待ってろよ、
今、治してやるから!」
薫が弱々しく頷く。

「だから未熟者だと言ったんだ。」
メグさんが怒ったように渦さんを下に見て吐き捨てた。
「だから嫌いなんだって!弱虫は!!」
葉流さんもメグの隣に立って言った。
「ふたりとも・・・!!」
マナが怒った。

「二人とも。
薫はどうしてこんなになってると思う?」

渦さんの鋭い声。

「自分が弱いからじゃないの?」
「病気か?」

「お前らの所為だよ。
薫を邪険に扱うから、薫は精神的にダメージを食らってた。
だから、お前らから引き離したんだ。」

「薫はお前らよりも強いよ。
お前らも強いんだから分かるだろ?」
椿が二人の前に立って言った。
・・・椿はちょっと怖いかな・・・。

「椿、も、いいから。分かってるから。
・・・みんなは渦が居なくなったから寂しかっただけなんだよ。もう、大丈夫だよ。
渦も。今度からはみんなも連れて行く。」

渦さんはやっと元の優しい顔に戻った。

「ごめんね・・・。薫の事は好きなんだよ?」
「渦が、連れて行ってくれなかったから、ただ、困らせたかっただけ。」

「これで仲直りだね!!
さ、お城に戻ろ。渦と椿の事、みんな待ってたからさ!!」

マナが終止符を打ったところで、椿が俺の隣に寄り添ってきた。
「主、俺も頑張りますから主も頑張ってください。」
「ありがとう。
覚悟だけは出来てるよ。」
椿が笑った。



銃声が聞こえた。
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