Sugar Nightmare

□No1 夜の夢には甘い甘い罠がある
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銃声が聞こえたのと、何かが割れた音が聞こえたのはほぼ同時。

「椿!!防御はしますから、攻撃をして下さい!!」

今の音は、薫が張った氷が割れた音だった。
「分かった。渦!!
ちゃんと主、守っといてよ!!」

椿の周りが赤くなって、椿の左腕が鋭い刃物に変わる。その刃物は血のように紅い色だった。

「主、よく見ててください。今度からは、主が俺を使うんですから。」

椿が前に出る。ほんの一瞬で、敵の男との間合いを詰めた。

椿は、速い・・・!

「お前、誰?」
椿が鋭い声を投げかける。
「お前を迎えに来た。」
「はァ?
言ってる意味が解かんないんだけど。」
男がにやりと笑ったのが見えた。
「花音!!」
男の周りに花と風が渦巻くのが見える。

渦さんが目を見張っていた。
「アイツ・・・、精霊使いか?」
「そうみたいです。
しかも、精霊と調和してる。」
薫も渦さんの隣に立って見ている。
「精霊使いって、精霊と合体するんですか?」
俺が疑問をぶつけると、渦さんがにこにこしながら答えてくれた。
「直球に言えばそうなるね。人間は精霊と一体になる事が可能だ。
ただし、波長が合わないと駄目なんだ。」
「波長?」
「人間にも、あたしたちと同じ波長って言うものが流れてるの。
パートナーを選んだ時点では、波長が合うかはわからないの。」
葉流が入ってくる。
「もし、合う事が出来たら精霊は武器に形を変えることが出来て、パートナーの武器になる。」
マナも薫の隣に立って、話に入ってきた。
「渦はへタレだけど、私たち4人全てと波長が合っている。だから調和することが出来て、私たちを自由に扱うことが出来る。」
メグはさっきの様な刺々しい雰囲気を、もうしていなかった。

「夕は椿と波長合ってるの?」
マナが薫にくっついたままで聞いてきた。
分かる訳が無い。俺たちは、数時間前に出会ったばかりなんだ。
「わかんない。・・・椿がどういうやつなのかも。」
「大丈夫だよ。夕は椿と上手くやっていける。」
渦さんが頭を撫でてきた。
髪型が乱れるからやめて欲しい。

椿の方で、大きな音が聞こえた。

椿が、何かを爆発させた音だった。

「お前、精霊使いなんだな?
何で俺を迎えに来た?」
男は相変わらず笑っている。気持ちが悪い。
「お前は危険だ。精霊ではない。」
「更に訳わかんないね。俺、そんなつもり無いんだけど?」
椿はいたって冷静だった。怖いぐらいに。
「お前は危険なモノなんだ。だから、お前と居る人間は危険に晒される事になる。いずれな。」
「俺が護る。」
「お前には護れない。
暴走するのはお前自身だからな!!」
椿がちょっと震えたように見えた。
気のせいかな?
「訳わかんない。
とりあえず一旦退いてくれない?俺、主と契約したまんまだから、何にも説明とかしてないから。」
「説明?お前に力は未知数だ。わかるものか。
主人も見つけたのか。お前の主人は可哀想だな。いずれ死に至る。」

は?俺、死んじゃうの?

・・・・・・・・・・・待て待て待て!!!俺はまだ16歳!!!人生これからなんですッッッ!!!ヤメテっっっ!!!!!

「死なせない。
・・・お前、俺に殺されたいのか?」
「長話をした。また今度、会うとしよう。」
男はそう言って、姿を消した。

椿が戻ってくる。
何故か急いで。

「主!!!」

衝撃。
突然だったからあんまり理解ができてない。
でも、変な感触がある。
ぬるぬるした

・・・・・・・・・・血?


「夕!!椿!!大丈夫か?!」
渦さんが大きな声で話しかけてきた。
「椿ッ?!」
血は、俺のじゃなくて椿のだった。背中がぱっくりと割れている。
怖い・・・!!
「・・主、だいじょうぶっすか?」
自分の方が重症なのに、俺を気遣ってくれる椿。
「椿の方が大変だよっ!!早く止血しないと!!」

渦さんが椿を慎重に抱き上げて、歩き出す。
「城に入る。その方が早い。」
「椿は、助かりますか?!」
渦さんはいつものように笑って、優しく言った。
「大丈夫。助かるよ。」


それを聞いた後からの記憶が無かった。
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