黒薔薇

□何もない場所
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私の過去

それは

私にとって

理由のないもの。

何もない

何も見えない

そんな暗闇。





私が生まれたのは1990年8月22日の深夜。2000グラムしかなくて3日間だけ保育器に入ってた。名前は母親がつけてくれた。

私が生まれてすぐ、両親は離婚した。原因は父の借金。元々体が弱くてあまり働けずにいた人で、毎日家にいて酒ばかり飲んでいて、母に働かせていたらしい。家に一日中いるくせに、預金通帳には毎月増大なお金が振り込んである。母が不思議に思って聞いてみると、どこからか借金をしたり、妖しいルートから買い占めたブランド物を売り飛ばしていた、と白状した。

もうすぐ子供が生まれるのにどうするんだ、と母親が怒ると、父はすぐ自分の親に泣き付く。


「あいつが暴力を振るう。俺は病気で働きたくても働けないで仕方なく家にいるのに。」


母親は一度だってそいつに暴力を振るったりしなかった。作り話をして母親を困らせ、妊娠中で精神的にも大変な時期だったのに、父はそれさえ理解しようとせずにただ母を困らせた。


増えていく借金と父の嫌がらせ。

母はついに離婚を決意した。



私が生まれてすぐ離婚した母は、「慰謝料や教育費はいらないから借金は自分でなんとかしろ」と言って実家に戻った。祖母は最初から父親との結婚を反対していたので、別れてくれて安心したと漏らしたらしい。

それから母は保険会社に勤め始めた。朝早くから夜中まで帰ってこない。自分の子供とも顔をあわせず生活していた。

私は祖母に育てられた。祖母も働いていたから、毎日私を背負いながら必死に。

近所の人や知り合いはみんな口をそろえて「あら、新しい子供?」と祖母に尋ねていた。

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