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□colore
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Bar.canon

『いらっしゃいませ!』

カランと小気味よい音を鳴らせドアが開くと、仕立ての良いスーツに身を包んだ赤ん坊が立っていた





【第107話】





落ち着いた木彫の明るい店内に、悠々とエスプレッソを嗜む赤ん坊・リボーン
この異常な光景は、ここcanonではいたって日常

『ね、リボーン
このビスコット私が焼いたんだけど、どぉ?』

エスプレッソに添えたビスコットをリボーンが口にするのを確認すると、みちるは身を乗り出して聞いてきた
ビスコットとは、2度焼きした固いクッキーを言い、そのままでも美味しいが、エスプレッソに浸し柔らかくして食べるのがイタリア流


「ああ、美味いぞ
けど店に出すにはもう少し甘くした方がいいんじゃねーか?かなり甘さ控えたな」

そう言いながら、二口三口と進めていくリボーン
味は良いようだ


『アレ?そっかなー』

首を傾げるみちるに、横にいたフェルッチオが笑いながら加わった


「みちるの作るお菓子は昔から甘さ控え目なんだよね
本人は甘党なのにねぇ
確か悠成さんも甘党だったよね?」

『うん、悠成タバコ凄かったけど、いつもチョコも持ち歩いてた……』

少し考えるみちる

『…あ』

やがて何か閃いたように小さく声を上げた


「思い当たる節があったのか?」

『あ〜うん、はは…』

リボーンの問い掛けに、みちるは苦笑し、少し躊躇い気味に答えた


『…昔…、XANXUSとね、よく一緒にお茶して、私お菓子作って出してたの
けど、XANXUSは甘いの好きじゃなくて、甘さもっと控えろとか、よく文句言われてたんだ
……けど…文句言うのに、結局食べてくれてたんだよなぁって、思い出した』


XANXUS…

その名前に、リボーンとフェルッチオは小さく反応した


みちるは最初こそ躊躇ったものの、表情も口調もいつもと変わらない様子だった

むしろ過去を懐かしんでいるような…それらを愛でるような…穏やかに落ち着いた瞳



「みちる…お前…」

何かを言いかけたリボーンだったが、みちるの真っ直ぐな瞳に口を閉じた


何か決意した強いものを感じたのだ
それはフェルッチオも同じで、2人はみちるからの言葉を待つ事にした








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