colore

□【colore】第26話〜第70話
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出逢いに後悔はない


私の世界に“彩(イロ)”をくれたのはアナタだから



ただ、納得いかないよ







【第26話】







「どーだ、みちる?
8年振りのイタリアは」


約12時間
やっと仰いだ青い空に、みちるは思い切り伸びをした


『はー疲れたー!
ディーノってよくちょくちょく日本に来れるよね。座りっぱなしなんて息が詰まる』


弟分のツナに会いに、それ以外にもディーノは仕事で度々日本を訪れている

飛行機の中でも、書類に目を通したり、右腕であるロマーリオとなにやら小難しい話しをしたり…何かと忙しそうなディーノ

彼はマフィアのボスにして、経営者としてもやり手なのだ

『部下の前じゃなきゃ今でもへなちょこなのにね』


ボスになる前からディーノを知るみちるには、どうも信じられなかった


「オレだってやる時はやるんだよ!つってもまぁ、リボーンのおかげだけどな」

金糸をかき上げ、ディーノはニカッと笑う


コレは昔から変わらないな…


みちるもつられて微笑んだ




見る者を魅了させる歴史的な建造物、町並み…
変わらない空

みちるは辺りを見渡し、深く酸素を吸い込むと、目を閉じながらゆっくりと細く息を吐いた


『…ディーノ。

私、9代目に会いたい。連れて行って』


「ああ、行こう」



悠成…私、イタリアに来たよ


銃は9代目に返す事にした

これでいいよね?

…いいよね?悠成







みちる達を乗せた車は、深い緑に囲まれた私有地へ入って行く
その先には、古城とも呼べるほどの建物が見えた

門をくぐり抜け、車は停まった


「みちる」


『っ家光!』


先陣をきって出迎えてくれた大柄な男に、みちるは抱き着いた


「おっと、熱烈だな」

よろめく事なく、動揺する事なく、しっかりと受け止めてくれた事に、みちるは涙が出そうな程嬉しく思った


彼は沢田家光
ツナの実父で門外顧問
ボンゴレNo.2

そして悠成の親友だった男



「みちる。よく来たな
よく…頑張ったな

さあ、9代目がお待ちだ」


『…うん』


しかしみちるは離れようとしなかった

家光の背中に手を回し、ギュッと服を掴む



悠成同様、みちるを自分の娘のように愛してる家光

この華奢な身体に、一体どれほどの激情を抱え込んで来たのか…
一体どんな思いで再びイタリアの地を踏んだのか…


みちるをもう一度きつく抱きしめ、家光はゆっくりと離した



「みちる。本当によく来たな。
さあ、中に入ろう。」



ディーノも部下もずっと後ろで沈黙を守っていた

ふと家光と目が合うと家光は少し微笑んだ










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