R2短編

□R2短編 番外
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※この短編の星刻は天子のことになるとキャラが壊れます
大丈夫!と思える方だけ先にお進みください






ここは『あちらの世界』

いずれこちらに来るであろう少女との出会いを、彼らはずっと心待ちにしていた。

「あの子、いつこっちに来るんだろうなぁ?
会いたいなぁ俺」

ため息混じりにそう呟いたのはジノ。
金髪を後ろで三つ編みにくくり、鮮やかな青い瞳を持つ青年だ。

椅子に三角座りで腰掛けた桃色の髪の少女が、携帯をポチポチする手を止めずにボソリと呟いた。

「私、待ってる」

その言葉に、ジノは少女を諭すように柔らかく笑った。

「ダメだろアーニャ。
会いたいなら会いたいって素直に言えよ」
「会いたい。
でも、待ってる」
「そうか会いたいか。
わかった。
今度一緒にあの子のところに行こうぜ」

その言葉に柳眉を寄せたのは、瞑想するようにまぶたを閉じていた青年だった。
中華連邦の人間で名前は星刻。
シンクーと読む。
腰を越える長髪は深みのある漆黒色で、端正な面持ちをしていた。

「そう気軽に『あちら』へ足を運ぶのは感心しないな。
我らはここで待機しているべきだろう」
「そんな固いこと言うなよ。
キミだって本当は会いたいくせに。
それに、天子ちゃんもどんな人か見たいって――――」
「天子ちゃんだと?!
貴様!! 天子様を愚弄したな!!」

瞳を怒りで燃やす星刻にジノはハハッと笑った。

「そんな熱くなんなよなぁ〜。
天子ちゃんって可愛い呼びかたじゃん」

ジノのヘラヘラした態度は確実に星刻の怒りに油を注いだ。

「貴様ッ そこになおれ!!
斬り落としてくれる!」

迷いなく刀を抜く星刻にジノは全然ひるまない。

「はははっ。
こっこまで、お〜いで〜♪」

ジノと星刻による鬼ごっこが始まった。
傍観したままのロロは呆れからくるため息を吐いた。

「兄さん、早く帰ってこないかなー…」

義姉さんを連れて。
胸中で、ロロはそう呟いた。

ここは『あちらの世界』

いずれこちらに来るであろう少女との出会いを、彼らはずっと心待ちにしていた。





 
 

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