†Μοον Cροw月鴉†
□Moon Crow2――稲と狐と鴉
1ページ/10ページ
「いい天気…」
狐を模したお面をつけ、青いローブを纏っている少年は、家を囲うように咲き誇る花に水をあげながら呟いた。
「こんな天気にはフルートを外で吹きたいのに…。」
この村――…稲荷の村には守らなければならない掟がある。それは、【外出する時は必ず狐の面をつけなければならない】というもの。
狐はここ稲荷の村を守っている神だと信じられており、崇められている。稲荷の村からほど近くにある森の奥にほこらがある。そのほこらに崇められている白銀の美しい毛並みを持った狐(蒼乱狐)の九尾がいるとされている。
「なんでこんなお面を付けなきゃいけないんだろ…。」
「リオンさん。こんにちは♪」
少年――…リオンは突如後ろから声をかけられた。振り返ると狐の面を手で持った見覚えのある服の少女がいた。
「クレシアさん――…!」
「綺麗な花達ですね。」
リオンが心を込めて育てた花々をみてクレシアは呟いた。
「あ、良かったら家に入って下さい。ジャスミンティー入れますよ。」
「ありがとうございます。私、ジャスミンティー好きなんです♪」