小説

□・Brother・後編
1ページ/8ページ



腕に抱えた体がぎしりと音を立てて強張ったのが解る。息を呑んだのも感じた。不思議な事に、『からかうな』とか冗談として流されなくて却ってちょっと怖い。もしかしてもしかしたら、物凄く嫌がられるんじゃないんだろうか?今更そんな風に考える。今の内に『なんちゃって』とでも言えばこの状況から抜け出せるのだろうか・・・っていうかこの状況って一体どんな状況なんだか解んねえけど。

怒りも呆れもしない兄貴が一体何を考えているのか、知りたいような、知りたくないような。

凍った様な指先を恐る恐るほどいて体を少しだけ離すと、がばっと兄貴が俺を振り向いてびっくりした。俺を振り返ったその顔が、真っ赤に染まっているから、だ。決して風呂上りだからなんて理由じゃない。だって目の端まで赤くて、その目は少し潤んでもいて、まるで初めて告白を受けた純情な映画のヒロインのようで、あれ、これって俺の目がおかしい?

「あ、兄貴」

「っ・・・あかや・・・」







.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ