小説

□・拍手倉庫
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日本ではクリスマスは恋人と過ごすんだ。







そう聞かされて越前はちょっと驚いた。無表情、無愛想という顔の持ち主の彼が感情を表に出すのは珍しい。

終業式の後でも部活はあり、その部活も終え、部室内はクリスマスの話で持ちきりだ。話の始まりは堀尾で、早く可愛い彼女とクリスマスを過ごしたいと漏らした事による。越前がいぶかしげな顔をしたのを大石が見つけて教えてやった。クリスマスは家族で過ごす習慣のアメリカから帰ってきた越前には、多少なり違和感があるだろう。

「ふーん…」

越前は一言呟くと、暫し思案する様な仕草を見せた後僅かに口元を上げ、素早くロッカーを閉めてドアへ急いだ。

「何だよ、彼女の所にでも行くのかよー」

そう冷やかす様なやっかむ様な堀尾の声を無視し、

「お疲れ様でした」

一言残して出ていった。








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