小説

□・一目惚
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眼球に、ふい、と自分から目を逸らす男が映る。


切原赤也は生まれて初めて『相手にされない』という経験をした。
しかも、少なからず自信のあるテニスに関して。目の前の男はれっきとした自分の先輩だが、たった一つ上とは思えないほどの風格を備えた男だ。だがそれでも、自分を気にも留めないなどどいうことは許せなかった。



あの目に俺を焼き付けて、離れさせなくしてやる。



その日から赤也の脳には常に『真田弦一郎』という名前が刻み込まれた。


まるでそれは一目惚れのよう。












 end
 

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