小説

□・花開くまで
1ページ/6ページ




「みーなみーぃ!」

教室のドアからオレンジの頭が覗いている。呼ばれた南が顔を上げると、オレンジ色の髪の持ち主はニッコリと笑い掛けた。その笑顔にこっそり溜め息を吐くと、南は席から立ち上がって出入口へ向かう。

「なんだよ、千石」

近付いて話し掛けると、更にヘラリと顔を弛める千石。

「別に、南の顔見たかっただけー」

「……はぁ?」

思わず抜けた声が出る。それを受けて千石が面白そうに目を細めて南を見つめた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ