小説
□・Brother・後編
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目の前の黒髪が揺れてがばりと兄貴が顔を上げた。さっきよりもずっと赤くなって、目には流れたはずの涙がまた堪ってて。
「・・・あにき」
「・・・・・・」
「真田さん、可愛い・・・」
「っ、赤也・・・」
離していた体を再び近づけて、今度は正面からそっと抱きしめるとびくりと震えたけれどそれも一瞬だった。俺よりもずっと均整のとれた胸に頬を当ててみると背中で感じたときよりも穏やかで、それにつられる様に俺の煩かった心臓も落ち着いていく。心地良いってこういうことだ。そうして落ち着いて初めて気づく。
「・・・こげ臭い・・・」
「!!」
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