小説

□・Brother・後編
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「・・・知ってたの?俺の気持ち」





あれから若干焦げた味噌汁と用意された夕飯を2人で向かい合って食べた。何だか妙にもにゃもにゃした、気恥ずかしい空気ではあったけど。その後宛がわれている部屋に引っ込もうとしたら兄貴が俺を呼び止めて、まだほんのり赤い顔で自分の部屋に呼んでくれた。一瞬良からぬ事が頭をよぎったが、考えてみたらまだ返事も貰ってないのにそんなコトまではないよな。とにかく俺達は一人部屋にしては広い和室に布団を並べて横になった。薄暗い豆電球だけの部屋で横になると大分落ち着いてきたから、思わず気になっていた事を聞いてみる。

「・・・明確に知っていた訳ではない。ただ、その、俺も男だから・・・何となくお前が俺を見る目が最近違う様な気はしていた」

兄貴の口調も割としっかりしてきて落ち着きを取り戻していたが、やっぱり何処となくぎこちない。・・・かわいい。しかし俺ってそんな露骨な目で見てたのか・・・。

「それで?兄貴はどう感じたわけ?俺言っちゃったからには引かないぜ」

ここまで来たからには後には引けない。怖かったのは兄貴に拒否される事だけだったから、それを乗り越えた今、もう怖いもんはねえ。

「真田さん」

「っ、そ、その呼び方は止せ!」

「だって俺の事弟でも後輩でもなくて、男として見て欲しいからさ。ねえ真田さん、あんたは俺の事どう思ってるの?」






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