小説

□・Close the World
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みっともない、はしたないとも思う。

中学生で淫らな行為をしているだけでも背徳的であるというのにその相手が同級生で、同じ部活の仲間でその上男だ。その男は真面目で、紳士と渾名される位に大人びていて、とてもこんな事をする様な人間には見えない。だが今見ている柳生は、紳士の欠片もなく雄の欲望を晒して俺を求め、そしてそれは得も言われぬ優越感と興奮に浸らせる。ボタンを腹まで外して肌蹴た胸板は白く、厚い。自分と同じ男の体だというのにそれが柳生という事実が俺を熱く追詰める。



耳朶を食み、舌を差し入れて音を鳴らすと重ねた手がぴくりと動いた。絡めた指であやす様に俺の手の甲を擦りながら左手をシャツの間から忍ばせ、ゆっくりと胸板を撫ぜる。途端にぎゅっと目を瞑って羞恥に耐える様に唇も引き結ぶ。柳生の左手は悪戯に体を動いて時折指先が煽る様に突起を掠めては離れ、掌は大胆に腹から腰を上下する。その度に吐いてしまう熱い吐息を惜しむ様に、柳生の唇に奪われ、口付けられていよいよ逃げ場は無い。元より逃げたい気にはなっても逃げる気も無いのだが、
それでも直に自身に触れられると身が竦み、勝手に腰が引けてしまう。

「や、ぎゅ・・・う、」

いよいよ羞恥に支配され、情けなくも息も絶え絶えに柳生を呼び、施された唇を求める様に自分のそれで追いかける。その内頭の中はぐずぐずと快楽を伴った熱に覆われて、思考を放棄してただ柳生を欲する。コントロールの効かない身体と心を、俺はいつも持て余して、最終的に全て諦めていた。



今の様に。
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