小説
□・拍手倉庫
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「日本ではクリスマスは恋人と過ごすんだって」
真田の質問は素晴らしく無視した越前からの言葉に、益々疑問符が頭に浮かぶ。顔の下半分を覆っているマフラーの更に下にある口がもごもご動き、不躾で遠慮の無い台詞を次々に吐いていく。
「ホント訳解んない国。バレンタインといいホワイトデーといい、馬鹿みたい」
「東京から此処までくんの、大変だったんだけど」
「っていうか…ねえ、早くどっか行こうよ」
越前の大きな溜め息で漸く我に返った真田は、同時に怒りの沸点にも達したらしく、眉と目を吊り上げた。
「訳の解らんのはお前だ…!勝手にやってきて何を言うかと思えば…!大体」
真田の文句は、越前に文字通り吸い込まれた。
越前と同じ様に巻かれていた真田のマフラーの端を捕まれ、真田は前に強く引っ張られて――
ぶつける様に越前と唇を重ねた。
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