小説

□・春酔い
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――大阪からの転入生は同い年にしては随分と大人びていたが、ジローは性格よりもテニスの腕に興味を示した。部長である跡部には敵わずとも、他の部員に決して引けを取らないそのテニスセンスはジローの眠気を吹き飛ばす力を持っており、そしてそれは本人への興味に繋がっていく。天真爛漫そのもののジローとは逆の彼はしかし、まとわりつくジローに対し嫌な顔一つせず相手をしてくれた。彼と同じ様に大人びた性格の跡部や滝などには時々呆れられているというのに、彼――忍足はジローの言葉一つ一つに反応を返してくれる。時々説教も交えて。








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