小説

□・春酔い
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忍足の横顔を見るのが好きだ、と思う。彼の笑った所はあまり見た事がない。その代わり彼のプレイは目に焼き付くほど見ている。

時々、眠る直前に目を閉じると忍足の姿が浮かんできて心臓が熱くなって眠れなくなることがある。美しいフォームから繰り出されるサーブ。鍛えられた足がコートを蹴って躍動する身体から汗が飛び散る。普段冷静な目にちらちらと宿る炎に、ジローはいつでも捕えられてしまう。

自分でも不思議な位、ジローは忍足を見つめていた。







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